平和な世界を目指して


 

世界連邦推進日本協議会政策提言


 

第六回 世界連邦実現に関する政策提言

「国際司法裁判所規程の選択条項受諾キャンペーン」の提言

 

内閣官房長官 菅義偉 殿

                                                 2013 年8 月 5日

 

世界連邦推進日本協議会

海部俊樹 世界連邦推進日本協議会会長

      世界連邦運動協会会長

横路孝弘 世界連邦日本国会委員会会長

山崎善也 世界連邦宣言自治体全国協議会会長

田中恆清 世界連邦日本宗教委員会会長


 私たちは、2005年8月2日に衆議院が「政府は世界連邦実現への道の探究など、持続可能な人類共生の未来を切り開くため最大限の努力を」と謳う決議を採択した事実に鑑み、かねてより、政府自らが部内に世界連邦建設に向けて委員会等を設けるなど、積極的施策を取られることを要望してまいりました。またこの観点から、翌2006年より5次にわたって政策提言を、総理大臣、外務大臣、あるいは外務省総合政策局長に手渡すとともに、その提言の趣旨を説明してまいりました。

 またこの観点から、翌2006年より5次にわたって政策提言を、総理大臣、外務大臣、あるいは外務省総合政策局長に手渡すとともに、その提言の趣旨を説明してまいりました。特に昨年は、国際貢献への一環として、総理大臣直轄の「国際連帯税検討委員会」を設置することを提言いたしました。 これらの政策提言はいずれも、先の国会決議を達成するためには政府自らが具体的・実効的な道程を鮮明にするべきであるとの確信に基づくものでありますが、今回は、国際司法裁判所(ICJ)の機能強化に関し、国連加盟国の中で、「選択条項」の受諾国を格段に増加させるためのキャンペーンを国内外で強力に展開されることを要請いたします。

1.「提言の主旨」 国際紛争の平和的解決のために、国連の主要な司法機関として設置されている国際司法裁判所(ICJ)の機能を一層強化する観点から、国際司法裁判所規程に定める強制的管轄権を担保するための「選択条項」(第36条2項)の受諾国を増加させるために、日本政府が国連の内外においてキャンペーンを張ることを求めます。

2.「国際司法裁判所の機能強化の必要性」 国連憲章は、紛争の平和的解決義務を加盟国に課し(第33条)、その司法的解決のために国際司法裁判所を設置しています。国際司法裁判所は、これまで1949年の「コルフ海峡事件」判決(ICJ244)をはじめ150以上の判決を出し、また26の「勧告的意見」を出しています。

2012年11月にはコロンビアが、ニカラグアとの領有権紛争をめぐるICJ判決に不服として、ICJの管轄権を受け入れる根拠となった米州機構のボゴタ条約からの脱退の意向を表明したことが耳目を集めましたが、ICJ判決は当事国によっておおむね遵守されてきており、紛争解決の機能としてICJの果たす役割は多大なものがあります。 しかしながら、いったん訴えが提起されても、双方がICJの管轄権に合意しない限り裁判は開始されない仕組みになっています。

司法的解決を好まず、また不利と考える紛争当事国は、ICJへの付託を拒絶し、裁判の回避を企図する原因になっています。この制度上の不備を解消するために、あらかじめ「すべての法律的紛争」についてICJの裁判管轄権を受諾することを認めるのが、「強制的管轄権受諾宣言」(いわゆる選択条項)であり(第36条2項)、この宣言国の提訴は、同様の受諾を宣言した他の国家との間で、当該紛争にかかる付託の特別の合意がない場合でも可能となります。

しかし、この受諾宣言国は、193の国連加盟国中、わずか69か国にすぎません。我が国は1958年に受諾しましたが、安全保障理事会の常任理事国の中で宣言をしているのは英国のみということが象徴しているように、大国とされる国の多くはまだ宣言していないという問題があります。受諾宣言自体にも「留保」という克服すべき課題もあるにせよ、紛争の平和的解決のためには、まずもって受諾宣言国を拡大させておくことが肝要です。

3.「選択条項受諾宣言キャンペーンの必要性」 野田佳彦前内閣は、2012年8月の韓国大統領の竹島上陸を契機に竹島問題を、ICJに単独提訴する意向を表明し、また9月27日には国連総会の一般討論演説で、領土紛争の解決手段としてICJを活用する必要性を強調し、そのために国連加盟国が強制管轄権の受諾を行うよう呼びかける演説を行いました。しかしながら、ICJの強制的管轄権を拡大することは領土・領海紛争に限らず他の多くの法律的紛争を対象にしていくことが前提であり、また特定の国との紛争が過熱した段階で必要性を強調するだけのものではありません。

私たちはこれまでの提言の中でも、選択受諾宣言受諾国を増やし、ICJの機能を強化することによって、国際社会における「法の支配」を拡充していくことが大切であると訴えてまいりました。国家が、国際紛争を軍事力等による解決などの強権政治を遂行するのではなく、あくまでも平和的に解決する意向を持つことが重要であり、そのための国際スキームをあらかじめ整備していくことは、将来の世界連邦の構築を見据えた人類共生社会の実現に不可欠であると信じます。

このため、政府におかれては、国連をはじめとするあらゆる外交チャネルを通して、受諾宣言国が格段に増加するよう非宣言国に訴えるキャンペーンを強力に推進すべきであります。こうした積極的な運動は、国連主義を基軸とする日本外交にも、またひいては、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」日本国憲法の精神にも完全に一致するものであります。

 

                                    以上