平和な世界を目指して


 

世界連邦推進日本協議会 第四回 政策提言


2010

 

 

外務大臣 岡田 克也 殿

 

 第四回 世界連邦実現に関する政策提言

 

外務省からの回答

第四回 世界連邦実現に関する政策提言を手交

左から 世界連邦日本国会委員会の谷畑孝議員、中野寛成会長、 岡田克也外務大臣、海部俊樹世界連邦推進日本協議会会長 ・世界連邦運動協会会長、 日下部禧代子副会長・理事長、大畠章宏議員


岡田克也外務大臣へ政策提言の説明を行う海部俊樹世界連邦推進日本協議会会長

 
中央は日下部禧代子世界連邦運動協会副会長・理事長

 
岡田外務大臣に説明を行う中野寛成世界連邦日本国会委員会会長

 

第四回 世界連邦実現に関する政策提言

 

目  次


はじめに

提言1 国会決議に基づく世界連邦建設の立志を鮮明にすること

提言2 世界連邦議会への第一歩として国連議員総会の創設を検討し推進すること

提言3 東アジア共同体を推進すること

提言4 国際刑事裁判制度の発展に寄与すること

提言5 核廃絶へ主導的役割を果たすこと

提言6 日本政府が率先して地球環境対策に取り組み、人類の危機を回避する行動の先導国家となること

提言7 国際連帯税を検討し実現に努めること

あとがき 


世界連邦推進日本協議会

 

世界連邦運動協会

世界連邦日本国会委員会

世界連邦宣言自治体全国協議会

世界連邦日本宗教委員会

 

 

 

はじめに

 

 2005年8月2日に衆議院で採択された「政府は世界連邦実現への道の探究など、持続可能な人類共生の未来を切り開くための最大限の努力を」と謳う決議に基づき、2006年より毎年「世界連邦実現に関する政策提言」と題する外務大臣宛の提言書を外務大臣あるいは総合外交政策局長に手渡し、説明をしてきました。その要項は

第一回 2006年6月23日  
1 国連改革について  
2 東アジア共同体について  
3 国際刑事裁判所への早期加入について

第二回 2007年12月17日  
1 国際刑事裁判所ローマ規程への加入を祝し一層の発展への寄与を求める  
2 国会決議に対応する日本政府の具体的行動を求める  
3 北海道洞爺湖サミットにおいて地球環境回復のための政治決断を求める

第三回 2008年9月17日
1 日本政府が率先して地球環境対策に取り組み人類の危機を回避する行動の先導国家となること  
2 ICCを通じて国際刑事裁判所の発展に寄与すること  
3 恒久平和構築の前段階としての軍縮に積極的に貢献すること  
4 共通認識としたい世界連邦の諸原則  でありました。


 毎回、総合外交政策局長より具体的で丁重なご回答をいただいたこと、ご尽力により国際刑事裁判所の早期加入や軍縮にかかわる世界への貢献など、各位、各機関のご努力に深く感謝し、敬意を表します。

 現下の我が国と世界の情勢は、国家主権絶対を下地とする国連体制を改善強化して、国家主権と世界を迅速、公平、効果的に律する人間主権(註)の調和した世界連邦体制へ進化させることを必要としております。

 鳩山総理は先に国連の場で、温室効果ガス削減についての勇気ある提言を行い、世界の識者の好評を博しました。米国オバマ大統領の「核なき世界をめざす」姿勢はノーベル平和賞の受賞につながり、これを国連事務総長の潘基文は「われわれは全く新たな多国間主義に入った」と評しました。すべての国家が「核なき世界をめざす」責任を共有し、具体的行動を起こすように求められている情勢の中で、世界連邦実現にかかわる国会決議を持つ日本が果たすべき使命を考え、以下、提言します。

 まず提言1で世界連邦という最終目標を明確に掲げ、提言2で世界連邦実現に必要な具体的システムとして世界議会の前身としての国連議員総会の設立について述べます。次に提言3で世界連邦の雛型ともなる東アジア共同体について、提言4で世界裁判所の前身とも言える国際刑事裁判所(ICC)について述べます。続いて世界連邦の目的が平和、環境保全、世界の貧困の解消であることから提言5で核軍縮、提言6で環境保全、提言7で貧困・環境対策の財源となる国際連帯税について触れます。

 


提言 1 国会決議に基づく世界連邦建設の立志を鮮明にすること

 

 米国オバマ大統領はノーベル平和賞受諾声明の中で「核兵器の廃絶は私の生涯の間には達成できないだろう。一人の指導者、一カ国では達成できない。しかし、これを知って対応すれば克服できる」と世界の指導者と世界の有力国家の結集を暗に要請しています。つまり、困難はあるが、オバマ大統領以外の指導者、米国以外の有力国家も「核なき世界」をめざして結集すれば困難克服が可能だと呼びかけているのです。

幾多の世界課題の解決に人類の知恵を結集しようという訴えは、この度のノーベル賞授賞理由に「今こそ地球規模の課題に、地球規模で対応し、責任を分かち合うときだ」とあるのと軌を一にしています。日本は経済的にも政治的にも米欧に並ぶ有力国家であり、東西両文明に通じ、世界連邦実現国会決議を持つのですから、人類の知恵結集の先導国家として今こそ起つときです。

  世界に展開する米軍の苦悩は、米国の経済的困難と合わせてオバマ大統領を悩ませています。理想実現の壁となる産軍複合経済は、国内問題として解決するのは不可能に近く、オバマ大統領には問題解決をともに目指す盟友がどうしてもほしいところでしょう。ひるがえって世界連邦の実現を考えるならば、世界連邦こそ米国の苦悩と世界課題に対応する唯一かつ完全な鍵とみられます。そのためにはグローバル・ガバナンスの構築が緊急の課題であります。また、たとえば全人類の戦争放棄は世界連邦体制下における各国の軍備撤廃で可能になります。そのときこそ核兵器廃絶は完全に達せられます。

 各国の軍備が完全になくなれば、各国・各民族は他を侵すことができないばかりでなく、他に侵されない安全の中で安心して自己の文化と産業・経済を開発し、それぞれの地で喜び生きる道を歩めます。これが望ましい連邦制世界の姿です。一方、地震、津波、暴風、噴火、水不足、食糧不足などの災害を軽減・克服することは、今や人類共通の課題です。国連緊急平和部隊(UNEPS)等を構築し、訓練し常時待機することにより、この課題に対応できます。

 私たちは身近な共同体(家庭、市区町村、都道府県、国家)で、その社会のルールに従い、恩恵を受けています。しかし、世界共同体はまだありません。国と国との条約に基づく国連はありますが、世界法に基づく共同体ではありません。

国際交流が飛躍的に進んだ現在、世界法治共同体を作ることは必然です。その必然の仕組み、世界連邦を、日本が2005年の国会決議に基づいて国是とし、米国をはじめ全世界に呼びかける先導国家としての使命を果たす姿勢、すなわち日本国の立志を鮮明にするよう、提言します。  

 

 

提言 2 世界連邦議会への第一歩として国連議員総会の創設を検討し推進すること

 我々は「世界議会」あるいは「世界連邦議会」を創設することを目標としています。EU加盟国の国民は自国の国会議員を投票で選ぶだけでなく、EU議会議員をも投票で選んでいます。同様に我々の目標が達成された場合、世界の人々は自国の議会の議員を投票で選ぶだけでなく、世界連邦議会の議員についても投票で選ぶことになります。

しかし、世界連邦議会を創設することは容易ではありません。そこで我々はその目標に向け、国連を漸進的に改革する案を提示します。その第一歩が国連議員総会の創設です。

 現在国連総会には各国政府代表が出席していますが、その諮問機関として選挙で選ばれた者によって構成される「国連議員総会」を創設することを検討し、推進していただきたい。

国連に世界民の思いを届け、さらに民主的な新しい秩序、すなわち世界連邦を生み出すための議論にふさわしい場になります。拘束力のない補助機関としてなら、国連議員総会は国連憲章を改正することなく創設が可能です(国連憲章22条)。

 

 

提言 3 東アジア共同体創設を推進すること

 

 ヨーロッパ連合(EU)、アフリカ連合(AU)、全米自由貿易地域(FTAA)構想など地域統合の流れは連邦制への必要と信頼を高めつつあります。これらの地域統合が成長し、世界連邦実現のために連携することは"国連体制から世界連邦体制へ移行する有力な道"です。日本の足元である東アジアにもその流れが始まっています。日本国政府は「世界連邦実現への道の探究」の重要な政策として、その東アジア共同体の創設、育成に努めなければなりません。

1) 地域統合の流れの中に見る東アジア共同体推進の必要  欧州経済共同体(EEC)・欧州共同体(EC)から地域統合を発展させてきた欧州連合(EU)は、加盟国も27カ国に拡大し、全ての加盟国の批准により2009年12月リスボン条約が発効するに至りました。また、EU大統領に相当するEU首脳会議常任議長やEU外相に相当する外務安全保障政策上級代表も就任が決まりました。 また、アフリカ統一機構(OAU)を解消発展させたアフリカ連合(AU)は、地域統合の一層の強化を模索しています。また経済統合の段階に関しては、全米自由貿易地域(FTAA)構想が進展しつつあり、現行の米国・カナダ・メキシコから成る北米自由貿易協定(NAFTA)に中南米諸国が参加して35カ国体制が形成されようとしています。 私たちのアジアにおいても、1990年にマレーシアのマハティール首相が発表した「東アジア経済グループ(EAEG)」構想や2002年に小泉首相が発表した「東アジア・コミュニティ」構想、2009年に鳩山首相が発表した「東アジア共同体」構想をはじめとして、近い将来東アジア地域に共同体の創設が検討される局面を迎えています。わが国の外交政策としてもこの東アジア共同体を強力に推進していくことが肝要ですが、もとより欧州地域とアジア地域では諸々の環境要因が必ずしも同一ではなく、東アジアの地域統合の実現プロセスには欧州とは違った手法や視点が採用されてもよいはずです。

2) 東アジアの経済協力体制から共同体実現へ  東アジア共同体の創設にあたっては,まず経済的側面を中心にした国際協力基盤を整備し、関係各国に地域統合の必要性が認識されるような既成事実を積み重ねる努力が必要です。東アジアにおいても貿易・物流・資本・金融・人的交流・労働力・情報などの国境を越えた移動が顕著になり,各国の繁栄や福利には相互協力や相互依存関係が不可欠であるという共通認識は、共同体意識を芽生えさせ発展させていく要素になるからです。各国間の自由貿易協定(FTA)やそれより広い経済連携協定(EPA)の締結の促進、わが国が提案している「日本・ASEAN包括的経済連携構想」の実現、域内諸国の国際貿易機関(WTO)への加盟の進行、「アジア債券市場」や「アジア共通通貨圏」構想の真剣な議論、資源・エネルギー問題や技術移転問題への国際協力の推進、といったさまざまな政策の検討と実現を経て、まず東アジア経済共同体、続いて東アジア共同体に至るプロセスがより現実味を帯びてくるものと考えられます。

3) 東アジア共同体実現をめざす重層的多元的な交渉機会の活用  東アジア共同体の地理的範囲をどのように描くかという段階ですら議論が伯仲していることが示すように、東アジア地域の地域統合に向けた条件整備には未だに不透明な部分が多いですが、現実に存在する各種の外交チャンネルや地域機関を重層的・多元的に活用することが共同体の創設促進には有効であると考えられます。すなわち、この地域に機能する東南アジア諸国連合(ASEAN)、ASEANプラス3(日本・韓国・中国)、ASEAN自由貿易地域(AFTA)、ASEAN地域フォーラム(ARF)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、アジア欧州首脳会議(ASEM)、東南アジア友好協力条約(TAC)、アジア開発銀行(ADB)、六カ国協議、そして東アジアサミットなどです。国際紛争の火種が多く残存し各種の利害が錯綜する東アジアにあっては、東アジア共同体の創設を直接的に協議するのと並行して多くの分野での国際理解・国際協力が推進される必要があります。

4) 信頼醸成措置の進展の必要性  核拡散や領土問題などを含めて多くの国際問題が山積し、地域統合への可能性や方途が今なお流動的な国際環境の下で、東アジア共同体の創設を検討する場合、何よりも地域内国家間の信頼醸成が急がれなければなりません。一つ一つの信頼醸成措置(CBMS)の構築は、迂遠なようであって最も着実で効果的な方策と考えられます。クリスチャンクラブと認識される欧州連合にあっても、ほぼ半世紀もかかって信頼醸成を積み上げてきた歴史があります。宗教・文化・政治的イデオロギー・ナショナリズム・経済体制・政治制度などの面でかなりの相違点が存在するアジア地域の特性に着目すると、軍縮への志向、軍事行動の抑制、予防外交の推進、貧困の解消・感染症対策・国際犯罪やテロの防止・津波などの災害対策・公害をはじめとする環境破壊の防止といった共通課題に対する国際協力などは、共同体創設の促進要因になるでしょう。冷戦体制の終焉やEUの拡大に欧州安全保障協力機構(OSCE)の果たした役割も想起される必要があります。  現在は、東アジア共同体実現への道を明確に描くことのできない時期に留まっているとはいえ、地域統合が一刻も早く達成されるべきことは明白であり、日本国政府は本格的に共同体創設に向けて本腰を入れるべきです。ただ、日本がイニシアティブをとる場合、国家利益の追求の姿勢のみが前面にでるようなことはできるだけ慎まなければなりません。グローバル・ガバナンスの究極的な形態が世界連邦以外にありえないことを考慮すると,東アジア共同体の創設が今後の日本外交にとって重要な政策の中核的位置を占めることは疑いがありません。積極的な努力を求めます。  

 

提言 4 国際刑事裁判制度の発展に寄与すること

1) ICC加盟国増進のための協力  普遍的管轄権の確立およびアジア地域における加入国増進の働きかけとして、地域内各国で行われるワークショップなど政府・市民社会主催の国際会議に積極的に参加し、加盟国増進を促進すること。

2) 核兵器使用の違法化  核兵器の使用をICCの管轄犯罪であることを明確にし、ローマ規程第8条戦争犯罪2(b)に核兵器使用を加えるよう提案すること。  

3) APIC特権免除協定への加入  捜査当局(検察局)および弁護人などICC関係者らが国内活動で十分な協力を確保することができるように、特権免除協定(APIC)への加入を推進すること。

4) 被告人権利保護のための法整備  被告人の権利について定めるローマ規程67条に基づき、被告人の権利が十分に保障されるよう法整備を行うこと。

5) 今後検討していただきたい課題

a )国際的に活躍できる人材を育成すること  2007年11月ICC裁判官補欠選挙においてわが国の斎賀氏がトップ当選したことを我々は高く評価しています。ただし、カテゴリーAの欠員に伴う補欠選挙にカテゴリーBの候補を出すという問題がありました。長期的に国際的に活躍できる人材育成に取りくみ、いかなるカテゴリーにも人材を拠出できる体制を作り出すよう求めます。

b)条約加入の際の国内法整備・精査について  わが国はローマ規程の取りまとめには大きな貢献をしたにも拘らず、主に関係国内法の整備・精査を理由として条約加入を遅らせ、105番目にようやく加入することになりました。手続き法の整備は必要でしたが、実体法の検討においては、おおよそ現実にはありえないような事態まで想定して必要以上に加入を遅らせる結果になりました。ローマ規程に限らず、あらゆる条約の加入において、わが国は関係国内法の精査に時間をとられ、加入を遅らせる傾向にあります。今後は条約加入の際は必要不可欠な国内法整備のみを行い、現実にはありえないような事態まで想定して必要以上に加入を遅らせないようにすることを求めます。それこそが日本国憲法前文・9条・98条などの国際協調主義に合致すると考えます。  

提言5 核廃絶へ主導的役割を果たすこと

 世界連邦運動は平和・環境・貧困など幅広い課題に取り組んでいますが、運動の原点は核兵器の脅威を無くすことにあります。オバマ大統領が核廃絶を訴えたプラハ演説と、ノーベル平和賞受賞、さらに2009年12月2日、国連総会において核廃絶決議が史上最多の171カ国の賛成で採択され、そこでアメリカが初めて共同提案国になったことなどは、前途に明るい兆しを見せています。

また2010年5月に行われたNPT(核拡散防止条約)の再検討会議の合意文書には「核兵器禁止条約」についての言及がありました。このような状況の中で特に、以下のことを望みます。  まず、2009年12月、日本の川口順子氏がオーストラリアのエバンス氏とともに共同議長を務めた「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)の報告書が出されましたが、それに関連して5点掲げます。

1) 核の「唯一の役割」は核攻撃を抑止することに限定されるという原則を速やかに採用すること・・・勧告50、52

2) 核兵器の先制不使用を日米で議論し宣言するとともに、他の保有国にも先制不使用を宣言するよう働きかけること・・・勧告49

3) 上記1・2に関連し、海外の一部には核の役割限定への反論として、「アメリカが核兵器の役割を縮小すると、日本が核武装する」というような信じ難い議論が存在しているので、日本の首相・外相が、「アメリカが核兵器の役割を縮小しても、日本は核武装しない」ということを公的に明言すること。

4) 2009年12月の上記国連決議や、6月17日の衆議院本会議での決議で具体的に示されたように、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の推進に努めること

5) モデル核兵器禁止条約を検討する作業を直ちに開始すること・・・勧告73  勧告では核兵器禁止条約について「中期」(2010〜2025年)目標としつつも、マレーシアとコスタリカ政府が国連に提出しているモデル核兵器禁止条約の内容をさらに精密にし、発展させるための作業を「直ちに」取り掛かるべきとしています。この勧告の通り直ちに開始していただきたい。  

ICNND報告書においては、核の役割限定や核禁止条約への言及など評価すべき点が多く見られる反面、被爆者や市民団体からはもっと踏み込んでほしかったとの声が聞かれます。これに対して委員会側は「現実を考えて実行可能なものにした」ということをしきりに強調しました。であるならば、報告書にあるレベルは実行可能なはずであり、唯一の被爆国として日本はこの報告書のレベルを更に超えて前倒しするくらいの気構えを見せていただきたい。 また、委員会の報告には触れられていませんが、

6) 核兵器使用について国際刑事裁判所の対象犯罪としてローマ規程に組み込むことも具体的に進めていただきたい。

 

提言6 日本政府が率先して地球環境対策に取り組み、人類の危機を回避する行動の先導国家となること

 人類がもたらした地球温暖化を食い止め、地球環境を調和のとれたものに回復するのは、人類が果たすべき緊急の責務です。地球の温暖化が地球環境回復不能の臨界点を超える前に、世界の政治はもはや逡巡せずに地球環境回復の大事業に取りかからねばなりません。

 2009年12月にデンマークのコペンハーゲンで行われたCOP15では宣言文書が「採択」されず「留意する=take note」という表現に留まりました。各国代表が世界全体の利益よりも国益を優先していることがその背景にあると思われます。「世界連邦実現の道の探究など持続可能な人類共生の未来を切り開くための最大限の努力をすべきである」との文言の入った衆議院決議の趣旨に鑑み、以下のような対策に日本が率先して取り組み、その誠意と実績を示しつつ世界をリードすることが肝要です。

1) CO2増加停止措置(大気中のCO2濃度を290ppmにまで早急に下げることを目標に産業、交通など活動制限を含む全国民の緊急行動、炭素税の導入、3R=Reduce:減らす, Reuse:再利用 , Recycle:再資源化)イニシアティブの推進、バーゼル条約の趣旨を踏まえた監視体制を強化(リサイクル名目で途上国へ有害廃棄物が押し付けられないようにすること)

2)  当面の災害防止措置(風水害予防工事、防潮工事など)

3) 環境技術の開発・普及、途上国への省エネ技術支援

4) 緊急の森林造成や砂漠化防止の大規模事業

5) 世界共通の環境教育の開発と普及  日本は環境技術先進国として上記の課題に取り組むにふさわしい指導国家となるべきであり、かつ、それが国会決議に沿う「世界連邦実現への道」であると考え、提言します。

 

提言7  国際連帯税を検討し実現に努めること

 国際連帯税はグローバルな活動に課税し、税収をグローバルな目的に用いるものです。これは世界連邦秩序の財源構想につながります。様々な案が議論されていますが、現在の状況では以下の三税を検討すべきと思われます。

1) 国際航空券税  既にフランスなど十数カ国で導入されており、その運用を行うユニットエイドという組織もありますので、実現は容易です。この税収によりエイズ、結核、マラリアなどの薬を途上国に安く供給することに成功しています。

2)国際通貨取引開発税  かつてトービン税として提唱されたものに似ていますが、一カ国だけでも導入でき、また税率もトービン税より低い0.005%などが提案されています。この税を検討するリーディンググループに2007年9月日本も加わり、さらにその後タスクフォースにも加わりました。そして2010年4月から日本がリーディンググループ議長国となりました。9月に行われるMDGs(国連ミレニアム開発目標)のレビューサミットのサイドイベントや年末のリーディンググループ総会において、議長国として主導的役割を担うことを求めます。

3) 地球炭素税  二酸化炭素排出量の削減には経済システムに組み込んだ制度設計が必要です。そこで、化石燃料などに地球炭素税を課することを求めます。個人がアイドリングをストップするなど、主体や規模にかかわらず、排出量を減らせば経済的にも得をするという点、また、監視システムも不要である点などで炭素税という手法は優れております。炭素税を導入しつつ、その税収を社会保障に充てるなどの方法で雇用も増やしたという例がヨーロッパのいくつかの国に見られますので、必ずしも経済の圧迫にはなりません。

 そのような措置の実績と信頼感の増進は世界連邦構築への一つの土台になります。

 

あ と が き

 

 多様で深刻な世界課題がふくそうする中で、政府が外交にたくましい意欲を見せておられることに敬意を表します。人類の人口増や多生産多消費の活動が要因となった気候変動は、地球環境の保全回復を不能にする臨界点を超えるのではないかと、多くの識者が危惧しています。

世界的な統治機構(グローバル・ガバナンス)の必要が緊急な課題となっているとき、日本が世界連邦体制構築の先頭に立つことは、名誉ある使命と考えます。第一提案では、その立志の確立と表明を求めています。後の提案は、世界連邦構築の土台として、その実績と信頼感を増進する諸措置の推進を求めるものであります。ご高配をお願い申し上げます。

(註) 人間主権の原則  主権とは人間各人の意志であり、人格である。人間は自分を処置し、自分を規律する意志力をもっている。すなわち、自分と他人との関係を共通の利害に適応するように調節することができる。そのような法治社会を、家庭、市区町村、都道府県、州、国、地域連合、世界共同体のように、五重六重に作ることは、自分の意志であり、主権である。                          
       

 

                         

 

世界連邦推進日本協議会

 

 

海部 俊樹 世界連邦推進日本協議会会長 
         世界連邦運動協会会長

中野 寛成 世界連邦日本国会委員会会長

山崎 善也 世界連邦宣言自治体全国協議会会長

田中 恆清 世界連邦日本宗教委員会会長

 

第四回提言への外務省からの回答