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2001年度総会宣言

人類は新しい世紀を迎えた。20世紀は戦争と混乱の世紀であったが、21世紀は平和と秩序の世紀にしなければならない。前世紀から持ちこされた、核兵器をはじめとする軍備の撤廃、CO2など温室効果ガスの増大による地球温暖化防止などの地球的課題は、全人類が手を携えて解決に努力しなければならない。そのための枠組みとして、国連を再構築し、十分な権威と権限をもつ世界連邦機構へと発展させることが急務である。

われわれは、世界連邦日本国会委員会が国会提出の準備を進めている「世界連邦実現に関する決議案」が早期に可決されるよう、同委員会と緊密に協力して推進する。

1998年7月、大量殺害や人道に対する罪、戦争犯罪などを犯した個人を裁く国際刑事裁判所規程が採択された。これは世界法を個人に直接適用するという世界連邦の基本原則達成に向かって一歩前進であり、歓迎する。しかし、わが国は同規程に調印も批准もしていない。われわれは、わが国が早急に同規程を承認し、加入手続きをとるよう国会、政府に強く要請する。

われわれは、国際紛争を解決する手段としての戦争を永久に放棄し、軍備および交戦権を否認した日本国憲法は、21世紀の世界の行くてを照らす光明であると確信する。われわれは、この憲法を誇りとし、世界各国の憲法に同様の条項が盛り込まれることを希望する。

われわれは、正義と秩序を基調とする国際平和は世界連邦の樹立によってのみ達成可能であるとの信念をもって、今世紀の早い時点で、この崇高な目標を達成するために全力を傾注する。

右宣言する。


2001年5月22日

世界連邦運動協会定例総会


2001年度運動方針

昨年、西暦2000年は20世紀最後の年として、9月に開催された第55回国連総会は「ミレニアム総会」と名づけられ、「21世紀の挑戦に応えられるように国連の役割を強化する機会とする」ことが目指され、また、その開催期間中に各国首脳は国連本部に集まり「ミレニアム・サミット」を開いた。一方、5月には非政府組織(NGO)の主催による「ミレニアムNGOフォーラム」が国連本部でもたれ、「世界の人々がグローバルな政策決定に参画する組織的枠組みをつくること」が決議された。


さらに一昨年5月にはオランダのハーグで大規模な平和市民集会が開催され、「21世紀は戦争の世紀」であったとし、「21世紀を戦争のない世紀」とすることを誓い、最終日には50項目からなる「21世紀の平和と正義のための課題」(ハーグ・アジェンダ)および「公正な国際秩序のための基本10原則」が採択され、われわれ世界連邦主義者は来るべき21世紀に多大の期待を持った。


しかし、21世紀最初の2001年を迎えた今、世界の現状はこれらの明るい期待に応えているとは残念ながらいえない。むしろわれわれにとって好ましくない方向、すなわち国家主義的傾向が強化されている。例えば、日本では公然と憲法改正が主張され、その焦点は第9条に向けられている。とくに人口2億をこえる超大軍事国家で世界に大きな影響力を持つアメリカの大統領選挙が、フロリダ州のわずか数百票の差で共和党のブッシュの勝利に終わったことは、その後の世界情勢に無視できない影響を与えつつあり、それは今後ますます顕著になることが懸念される。アメリカは昨年末、国際刑事裁判所規程に調印したが、ブッシュ大統領はそれを批准しないことを明言し、またCO2など温室効果ガスの増大で地球の温暖化叫ばれているなか、国益に反するとの理由で1997年京都で開かれた「地球温暖化防止条約」に関する第3回締約国会議(COP3)で採択された、いわゆる「京都議定書」から脱退することを一方的に宣言し、世界の批判を受けている。また、世界各地の紛争も続き、一時解決の兆しがみられたパレスチナ問題もむしろ悪化している。


しかし、このような情況にありながら、われわれの運動を勇気づける状況も進行している。その代表的な例はEUの発展であろう。EU15カ国は今年2月、中東欧への拡大にそなえた「ニース条約」に調印した。2002年末までに各国が批准を終え、2004年初めにも中東欧からの12カ国を加え、「ローマ帝国以来の大欧州」(プロディ欧州委員長)が実現しようとしている。EUは世界の経済地図を塗りかえた市場統合、ユーロ導入に続き、今や「大欧州」を目指した政治統合の論議が本格化しつつある。EUの1つの特徴は、その決定に国連総会には見られない比重投票制を採用していることである。


また、NGOの急速な増大やインターネットや電子メールに代表される情報革命の発展により、世界的なネットワーキングが進行し、それは国家を超えた新たなアクターとなりつつある。1997年12月に調印された「対人地雷全面禁止条約」といい、1998年7月調印された「国際刑事裁判所規程」といい、いずれもNGOの強力な働き掛けなしには成立しえなかったであろう。とくに後者については、その形成過程で多数のNGOが連合体(CICC)をつくり、その採択に貢献したが、WFMのビル・ペース事務総長は指導的役割を果たした。


このように、一方で国家主権を強めようとする根強い勢力があるにも拘わらず、環境、人口、麻薬、テロ(海賊)といった国家の枠組みでは解決不可能な地球的諸問題や企業の多国籍化などによって、世界は明らかにわれわれの目指す方向に進みつつある。われわれは自信をもって運動に努力すべきである。 具体的には、以下のような活動計画にもとづいて本年度の活動を展開する。



2001年度活動計画

【理論・政策】

  1. 世界連邦の見地から激しく変動する世界情勢を分析、評価し、それに対応した理論・政策を立てる。
  2. 国際刑事裁判所規程発効のため、目的を共通にする他の諸団体と協力して努力する。
  3. ハーグ・アジェンダ基本10原則の第1原則である日本国憲法第9条の世界的普及に努力する。
  4. 日本ハーグ平和アピール運動の活動に協力する。
【政治活動】

  1. 世界連邦日本国会委員会と密接に協力し、我が国が世界連邦を志向する旨の「世界連邦国会決議」を上程、可決することを重点目標とし、その促進のために努力する。
  2. 世界連邦日本国会委員会との懇談会を開くなど同委員会との提携、協力を深めるとともに同委員会の会員増加に積極的に協力する。
  3. 世界連邦建設の第一歩として国連の改革、強化を推進するよう政府に要請する。
  4. 国連の改革・強化のため、加盟国の国会が任命する代表で構成される「国連議員総会」に対する国会議員の支持を得るよう努力する。
  5. 日本が国際刑事裁判所規程をすみやかに批准するよう政府、国会に強く要請する。
  6. 世界連邦宣言自治体の増加のために一層努力するとともに、既宣言自治体との連携を密にし世界連邦運動を協力して推進する。

【教育広報】

  1. 各委員会との連携を強め、世界連邦思想の学習、教育、広報活動の強化を図る。
  2. 「世界連邦新聞」の内容充実を図り、世界連邦の理論・政策の伝達、平和教育推進のための効果的な媒体とする。同時に一般会員や各支部とのコミュニケーションを活発化するために身近なニュースをとりあげ、会員の投稿を勧奨するなどして親しみやすいものとする。
  3. 世界連邦に関する研究や教育活動の活性化を図るために資料集の刊行、リーフレット類の改訂、他の委員会との共同による懇談会などの開催を促進する。
  4. 小・中学生の平和ポスター・作文コンクールの30回を記念し、規模を拡大し一層の発展を図る
  5. 既に進展している「世界連邦1日10円運動」を推進し、世界的な広がりをもつ諸問題の解決、たとえば識字教育を支援する。

【組織】

本運動は何故、創始されたのか。どのような経緯をたどり今日に至るか。新世紀を迎え、何が求められているか。組織委員会では、会員の自覚や研鑽に期待しつつ、本運動の初期の目的達成のため、下記4項目を本年度活動計画に掲げます。

  1. 会員は、本会設立の精神を自覚し、会員増加に努めます。特に青年や女性の運動参画に力を注ぎます。
  2. 地区協議会や支部間交流を活性化します。定例会の開催、機関誌紙の発行、また関連他団体との友好提携を深めるなど、日常活動に力を注ぎます。
  3. 世界連邦宣言自治体全国協議会や国会委員会などとの提携を強化し、新しい支部組織の結成に努めます。
  4. 「世界連邦推進日本協議会」の中核組織としての責任を自覚し、WFMとの連携のもと、国家・国民への啓蒙や、国内外の諸情勢に即応できる運動組織体としての拡充強化に努めます。

【国際】

  1. 分野別問題に関する行動プログラム(Issue Action Program)。
  2. a.WFMJと日本反核法律家協会(JALANA)が中核となって構成している『日本ハーグ平和アピール運動』を積極的に支援し、1999年、ハーグ世界市民平和会議で合意された『21世紀の平和と正義のためのハーグ・アジェンダ』および『ハーグ・アジェンダ基本10原則』の地域での普及を目指す。
    b.『国際刑事裁判所の設置を求めるNGO連合(CICC)』の目標である、2002年までに世界60カ国以上の批准(承認、加入)を目指す2カ年キャンペーンに連帯する。当面の計画として世界連邦日本国会委員会事務局に協力して、日本の早期加入の促進を図る。
    c.WFMのイニシアチブで推進されている、民主化された国連を求める『国連総会へのNGOによるアクセス』問題について、まず資料の配付などによる広報活動を行う。
  3. WFMニューヨーク国際事務局より定期的に配布される、WFM機関紙『ワールド・フェデラリスト・ニュース(WFN)』、HAP季刊紙『ピース・マターズ(平和事情)』、ICC情報誌『モニター』、WFM季刊小冊子『ザ・フェデラリスト・ディベート(論壇)』などの資料を可能な限り和文に翻訳して、会員に世界連邦運動に関する最新情報を提供する努力を今年も継続する。翻訳作業に当たっては、組織委員会メンバーを地域横断的に組織した翻訳チームが分担し、共通の問題意識の醸成につとめる。
  4. 地域的に分散している国際委員会メンバーの交流を密にするため、以上の行動目標の実施状況、および他の情報なども網羅する『国際委員会通信』を今後も続けて発行する。さらに国際委員会メンバー相互の意見および情報交換を行うため、例えばWFM関係の英文翻訳に資するため『用語集』の作成、あるいは『インターネット会議』の開催などを検討する。
  5. 書籍の電子出版
  6. 会員増強のためのツールとして活用されることを期待し、既刊の『1999年代の共通の責任』、『われら地球的隣人』および『未来は今始める』などを合本し、装丁も新たにして電子出版する。
  7. 韓国世界連邦運動者との交流を密にし、相互に定期協議会を開催する。

●中・長期的に留意すべき計画。

  1. WFMアジア・センターに協力し、アジア全域への運動の普及と展開に務めると共に、東アジア協会の活動を助成する。
  2. 世界連邦都市宣言世界本部(WCM)に協力し、都市宣言運動の国際的展開および姉妹都市との連携を進める。

【財務】

  1. 財政を再建、強化するための根本は、会費収入の増大を図ることにあるので、会員、特に維持会員、賛助会員(個人および法人)の増加について、本部、支部一体となって努力する。
  2. 税制上の優遇措置(個人の寄付は年間149万円まで所得税から控除)が適用される世界連邦全国後援会を通じての資金獲得に努力する。
  3. 運動資金を得るための事業を企画、実施する。
  4. 従来行ってきた書画工芸展示即売会は、運動のPRにも役立つので各地で随時実施する。また在庫作品の換金にも努める。
  5. 機関紙の広告獲得に努力する。支部で取り扱ったものは、広告費の半額を支部活動費として還元する。
  6. 四半期ごとの会費完納を励行し、未納、滞納を一掃し、財政の円滑な運用を図る。


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