新しい千年紀(ミレニアム)を迎えて、国連は今秋開催される第五十五回総会を「ミレニアム総会」と名づけ、九月六日〜八日には国連本部に各国首脳が集い「ミレニアム・サミット」が開催される。これに先だち、五月二十二日〜二十六日には国連本部で「ミレニアムNGOフォーラム」が開催される。いずれも、二十一世紀の挑戦に応えられるように国連の役割を強化する方策について討議する。
二度にわたる世界大戦をはじめ、二十世紀は「戦争の世紀」であった。来たるべき二十一世紀を「平和の世紀」とするためには、核兵器の出現前に創設された国連を改革、強化かつ民主化し、世界連邦機構へと発展させる以外に途はない。二十世紀を閉じるにあたって開催される前記の諸会議が、それに向かって大きな一歩を踏み出すことを強く期待する。
わが国においては、「国連など国際機関の機能を改革、強化しつつ、漸進的な国際統合を図り、究極的には民主的な安全保障機能を具備する世界連邦政府を実現させるべきである」という「世界連邦実現に関する決議案」を国会に提出する準備が世界連邦日本国会委員会によって進められている。われわれは、同委員会と緊密に協力し、この機会を逃すことなく、同決議が可決されるよう全力を傾注する。
昨年五月開催された「ハーグ平和アピール会議」は、一万名に及ぶ市民社会、政府および国際機関の代表が参加して戦争の廃絶と平和の文化創造について討議し、画期的な成果を収めることができた。同会議で採択された核兵器廃絶や地球環境保全など五十項目の「ハーグ・アジェンダ」の一般への周知と、その実現の促進などフォローアップ活動に努力する。
われわれは、新しい世紀を目前にして、若い世代の参加を得て、組織を拡大、強化し、世界連邦の早期実現のため活発な運動を展開する。
右宣言する。
二〇〇〇年五月十六日
世界連邦運動協会定例総会
WFM専務理事ウィリアム・ペース
WFM国際事務局は、5月16日に開催される世界連邦運動協会の総会が盛会で、実り豊かなものであることをお祈り申しあげます。私たちは、世界連邦運動協会が、今秋10月7日〜9日、神奈川県葉山町で開催されるWFM理事会を受け入れて下さったことに深く感謝申しあげます。この偉大な運動の将来について話し合うために集う国際的指導者たちと皆さまが会われる機会を持たれることを期待致します。
本年は世界連邦運動にとって、現在取り組んでいる諸活動を促進し、運動の幅を拡げるための絶好の機会であります。日本の運動組織は、世界連邦運動の平和目標を唱道する独特の立場にあります。特に日本は憲法(第9条)改正の議論を再開したからであります。ハーグ平和アピール日本ネットワークを組織された皆さまの活動は、私たちにとって大変貴重であります。私たちは、日本政府が出来る限り早急に国際刑事裁判所設立条約に調印し、批准するよう、皆さまが私たちと共に促進して下さることを期待致します。
さらに、日本は国際的な開発および貿易において大きな役割を果たしているので、日本政府は、国際通貨基金、世界銀行、世界貿易機関など国際的な金融・貿易機関のあり方に影響力を及ぼす重要な立場にあります。WFMは、国際民主主義の伸長および経済のグローバル化の進展を唱道しております。私たちは、環境、労働、社会福祉に取り組んでいる市民社会及び国連諸機関は、これら国際金融機関において、しかるべき役割を果たすべきだと思います。このアイディアの唱道に加わって下さい。
私たちは、日本の世界連邦運動が世界運動と一致させて会名を変更されたことを歓迎致します。WFMにおいては、現実に照らして、いかに活動すべきか、再構築を行わなければなりませんでした。どのようにしたら、国内、地域、国際のレベルにおいて、より効果的に協力できるかについて、日本の世界連邦運動協会と話し合えることを期待しております。
法による世界の平和と公正を求める私たちの活動は、新しい世紀においても依然として大きな課題であります。世界連邦運動協会のような市民社会組織の役割は、日本において来る50年間、一層重要になるでしょう。1950年代初期以来のいかなる時点よりも、世界は私たちのメッセージを聞き入れるようになっております。私たちは、次の世代のための偉大な道義的・政治的運動である、この運動を支援する人的・財政的資源を見出さなければなりません。
連邦制の民主的かつ公正な世界秩序に対する皆さまのご支援に深く感謝申しあげ、皆さまの活動進展についての報告をお待ち致しております。