平和な世界を目指して
国家を超えた権威と権限を有する
第2次世界大戦末期に“将来の世代を戦争の惨害から救う”ために国際連合が創設されました。しかし、数週間後、広島、長崎に投下された原子爆弾は、この平和維持機構を時代遅れのものにしてしまいました。
核兵器による破壊から人類を救うためには、主権国家の連合体である国際連合では不十分であり、国家を超えた権威と権限を有する世界連邦機構をつくるべきだという世論が世界各地で期せずして起こりました。
アインシュタイン博士やラッセル卿、湯川秀樹博士、シュバイツアー博士、チャーチル氏などの著名人たちも熱心にその必要性を強調しました。
各国の世界連邦運動者たちは、1946年、ルクセンブルクに集まって「世界連邦政府のための世界運動」(現在の世界連邦運動=WFM)を組織し、以来50数年にわたって運動が続けられております。
●WFM(世界連邦運動)は平和会議を開催
WFMは、国連経済社会理事会と協議資格を持つ非政府組織(NGO、カテゴリーII )であり、ニューヨークに国際事務局を置いております。WFMは国連を強化し、民主化するために各国の議会代表で構成される国連議員総会の創設や安全保障理事会の改革、戦争犯罪を犯した個人を裁く国際刑事裁判所の創設、第1回ハーグ平和会議100周年にあたる1999年にハーグで大規模な平和会議を開催することなどに努力しています。
●日本の世界連邦運動
わが国でも戦後すぐに尾崎行雄氏、賀川豊彦氏、下中弥三郎氏らによって世界連邦建設の必要が提唱され、1948年に「世界連邦建設同盟」が結成されました。続いて超党派の「世界連邦日本国会委員会」も発足し、さらに1950年からは世界連邦宣言自治体運動も展開され、平成24年7月現在、81自治体(1都2府1道17県60市区町村)が世界連邦宣言自治体全国協議会に所属し、世界連邦の実現のために努力する旨を決議しております。また各宗各派の宗教者による「世界連邦日本宗教委員会」も組織されております。
●冷戦終焉後の世界とWFM
冷戦終焉後の世界は、新しい秩序を模索して動いておりますが、このことは世界連邦への流れを加速させるに違いありません。すなわち軍備に向けられる膨大な費用と資源を貧困や飢餓に苦しんでいる発展途上国の開発と福祉向上に転用するためには、各国が軍備によって自国の安全を保障しようとする現在の主権国家体制から脱却して、世界法のもとで、すべての国々の共通の安全が保障される世界連邦体制を樹立する以外に方途がないことが認識されることにより、新世界秩序の構築に「世界連邦」が深く関与するからであります。
●21世紀に向けて
また酸性雨による森林破壊、熱帯雨林の減少、砂漠化、オゾン層の破壊によるガンの多発や地球温暖化による海水面の上昇など、地球環境の汚染と破壊による人類の危機に対処するためにも、速やかに国連を強化、発展させて主権国家を超えた世界連邦体制とすることが必要であります。
21世紀に向けて、平和で豊かで人権の保障される新しい世界秩序を樹立するために、私たちは世界連邦の速やかな実現を期しております。